離婚後の共同親権制度の導入と子の監護・養育に関する規定の整備
この改正では、離婚後も父母双方が親権者となれる「共同親権」の仕組みが新たに設けられました。あわせて、子の養育費(監護費用)の支払いを確保するための先取特権の新設や、離婚時の財産分与の考慮要素の明確化・請求期間の延長など、離婚に伴う子どもと財産に関するルールが幅広く見直されています。また、夫婦間の契約をいつでも取り消せる規定が廃止されるなど、婚姻の効力に関する古い規定も整理されました。全体として、離婚後の子の利益を最優先に考え、養育の実効性を高めることを目的とした改正です。
主な変更点
改正前は離婚時に父母の一方のみを親権者と定める必要がありましたが、改正後は父母双方または一方を親権者と定めることができるようになりました(第819条)。父母双方が親権者となる場合の親権の行使方法(共同行使が原則、日常の行為は単独可、急迫の事情がある場合や単独親権者の場合は単独行使)についても新たに規定されました(第824条の2)。
裁判所が父母双方を親権者とするか一方のみとするかを判断する際、子の利益のために父母と子の関係等を考慮しなければならないと定められました。また、父母の一方が他方から暴力等を受けるおそれがある場合など、共同親権が困難と認められるときは一方のみを親権者と定めなければならないとされました(第819条)。
養子が15歳未満の場合、監護をすべき親の同意が得られなくても、子の利益のため特に必要なときは家庭裁判所が同意に代わる許可を与えられるようになりました(第797条)。また、離縁時に養子の父母が離婚している場合、その双方または一方を親権者と定められるようになりました(第811条)。
養育費など子の監護に要する費用について、他の一般債権に優先して弁済を受けられる「先取特権」が新設されました(第306条、第308条の2)。これにより、養育費の支払いが滞った場合の回収がしやすくなります。
離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合でも、子を主に監護する親が、法務省令で定める方法で算定した額を相手方に請求できる規定が新設されました(第766条の3)。ただし相手方の支払能力が著しく低い場合は支払いを拒めるとされています。
財産分与を請求できる期間が離婚後2年から5年に延長されました。また、分与の判断にあたって考慮すべき要素(婚姻中の財産の取得・維持への寄与度、婚姻期間、生活水準、扶養状況、年齢・心身の状況等)が具体的に明記され、寄与の程度が不明な場合は原則として平等とみなすとされました(第768条)。
裁判上の離婚を求められる事由から「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という項目が削除されました(第770条)。
未成年の子がいる場合の離婚届出について、親権者の定めがされているか、親権者指定の家事審判・調停の申立てがされていることを確認する規定に改められました(第765条)。
婚姻中はいつでも夫婦間の契約を取り消せるとしていた規定(第753条・第754条)が削除されました。
父母は子の人格を尊重し、年齢等に配慮して養育し、扶養する義務があることが明文化されました(第817条の12)。また、離婚後に子と別居する親やその他の親族と子との交流について定める規定が新設されました(第817条の13、第766条の2)。
国民生活への影響
離婚後も父母双方が親権を持てるようになることで、子の養育に関する意思決定に両親が関わり続けられる可能性が広がります。また、養育費の先取特権創設や法定算定ルールにより、養育費の未払い対策が強化され、財産分与の請求期間延長により離婚後の生活再建の選択肢が増えます。一方で、離婚届出の要件が厳格化されるなど、離婚手続きにおいて親権者の取り決めがより重視されるようになります。
改正の背景
根拠となる条文からは、子の利益を最優先に考慮する規定が随所に追加されていることが読み取れ、離婚後の子の養育環境の安定と、養育費の実効的な確保を図る目的があると考えられます。また、附則第19条には離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策の在り方について、施行後5年を目途に検討を加える旨が定められており、継続的な見直しを予定した改正であることがうかがえます。
smart_toyこの概要はClaude AI(Anthropic社)により自動生成されています。 誤りや省略が含まれる可能性があります。正確な内容はe-Gov法令検索の原文をご確認ください。
本則の改正
22条法律の中身が変わった条文特定の種類の債権を持つ人が、債務者の全財産から優先的に支払いを受けられる権利(一般の先取特権)が発生する原因を列挙した条文
AI要約これまでは「共益の費用」「雇用関係」「葬式の費用」「日用品の供給」の4種類の債権について、債務者の全財産から優先的に支払いを受けられる権利が認められていました。今回の改正により、新たに「子の監護の費用」(子どもを育てるためにかかる費用)が3番目の項目として追加され、5種類になりました。これにより、子どもの養育費を受け取る権利がある人(主に離婚後に子を育てる親など)は、相手の財産に対して優先的に支払いを求めることができるようになります。
婚姻が取り消された場合に、離婚に関する子の監護や財産分与などのルールをどこまで準用するかを定めた条文
AI要約婚姻が取り消された際に準用する第八百十九条の範囲が「第二項、第三項、第五項及び第六項」から「第二項、第三項及び第五項から第七項まで」に変更されました。これは親権者の定めに関する第八百十九条に新しい項(第六項・第七項)が追加されたことに伴い、婚姻取消しの場合にも新設された項を含めて準用するように整理されたものです。実質的な内容の大きな変更というより、条文番号のずれに対応した引用範囲の調整です。
かつて『未成年者が結婚すると成年として扱われる』という成年擬制のルールを定めていた条文の欠番(削除済みの条文番号)
AI要約第753条は、2022年4月の成人年齢引き下げ(20歳→18歳)に合わせて結婚可能年齢と成人年齢が一致したため、既に条文の内容自体は削除され『削除』という表示だけが条文番号として残っていました。今回の改正では、この『削除』という表示そのものも条文体系から完全に取り除かれ、第753条という条文番号自体が条文集から姿を消しました。市民の権利義務に実質的な影響はなく、条文集の整理(欠番の削除)にとどまります。
夫婦が結婚している間に交わした約束(契約)を、あとから一方的に取り消すことができるというルール
AI要約これまでは、夫婦間で結んだ契約は婚姻中であればいつでも夫婦の一方の意思だけで自由に取り消せるとされていましたが、この規定が削除されました。これにより、夫婦間の契約も一般の契約と同様に、原則として一方的に取り消すことができなくなり、当事者間の合意や法律の一般原則に従って扱われることになります。この変更は、夫婦であっても対等な当事者として契約に拘束されるべきだという考え方を反映したものです。
離婚届を役所が受理する際に確認すべき条件を定めた規定
AI要約改正前は、離婚届を受理する条件として、未成年の子がいる場合に父母の一方または双方を親権者と定める規定(第819条第1項)に違反していないことの確認が必要でした。改正後はこの直接的な参照がなくなり、代わりに未成年の子がいる場合には「親権者が既に定められていること」または「親権者を決めるための家事審判・調停の申立てが既にされていること」のいずれかを満たしていれば届出を受理できるようになりました。これにより、離婚時に親権者がまだ確定していなくても、家庭裁判所での手続き中であれば離婚届自体は先に受理してもらえる仕組みになりました。
父母が離婚する際に、子どもをどちらが育てるか、面会交流、費用の分担など子どもの世話に関する事項をどう決めるかを定めるルール
AI要約改正前は「子の監護をすべき者」として父母の一方が子を育てることを前提とした表現でしたが、改正後は「子の監護をすべき者又は子の監護の分掌」という表現が加わり、離婚後も父母双方が話し合いで監護の役割を分担できることが明確にされました。また「面会及びその他の交流」という表現が「交流」に簡略化されましたが、意味の実質的な変更はありません。これにより、離婚後に父母が共同で子育てに関わる選択肢が制度上認められやすくなりました。
離婚した夫婦の一方が相手に財産の分配を求めることができる「財産分与」について定めたルール
AI要約財産分与を家庭裁判所に請求できる期限が、離婚から2年以内から5年以内に延長されました。また、家庭裁判所が分与の内容を決める際に考慮すべき事情がより具体的に定められ、婚姻期間中の生活水準や協力・扶助の状況、各当事者の年齢・健康状態・職業・収入なども考慮されるようになりました。さらに、夫婦それぞれが財産の取得・維持にどれだけ貢献したかが不明な場合は、原則として貢献度は同等とみなすというルールが新たに追加されました。
夫婦が離婚の訴え(裁判)を起こせる条件を定めるルール
AI要約改正前は離婚の訴えを起こせる条件の一つに「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という項目がありましたが、これが削除されました。精神病を理由に離婚を求めることができるという規定がなくなり、そのようなケースは「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という一般的な条項で判断されることになります。また、裁判所が離婚請求を棄却できる場合の対象条項の範囲も、この削除に合わせて第一号から第四号までだったものが第一号から第三号までに変更されています。
結婚していない父母の間に生まれた子どもを父親が認知した場合に、子の監護(世話)に関するルールをどのように適用するかを定めた条文
AI要約改正前は、離婚時の子の監護に関する第766条のルールだけを認知の場合に当てはめていましたが、改正後はそれに加えて、祖父母などの親族と子どもとの交流を定める第766条の2、養育費の請求について定める第766条の3のルールも当てはめることになりました。これにより、認知した父親に対しても、子の親族との交流の取り決めや養育費の支払いに関する規定が適用されるようになります。
15歳未満の子どもを養子にする際、法定代理人が代わりに縁組を承諾し、監護すべき親の同意が必要となるルール
AI要約従来は、監護すべき親や親権停止中の親の同意が得られない場合の対処方法が定められていませんでした。改正により、子の利益のために特に必要なのに親が同意しない場合、家庭裁判所が親の同意に代わる許可を与えられるようになりました。また、親権の行使をめぐって家庭裁判所に判断を求める手続きがあった場合、家裁は子の利益のため特に必要と認めるときに限り、その審判を行えることも明確にされました。
養子縁組を解消する(離縁する)際の手続きや、養子が15歳未満の場合に誰が離縁の協議・決定を行うかを定めるルール
AI要約養子が15歳未満で離縁する場合、養子の父母が離婚しているときは、これまで父母の「一方」だけを離縁後の親権者として定めることになっていましたが、改正後は「双方又は一方」を親権者として定めることができるようになりました。これは離婚後の共同親権を認める民法改正に合わせた変更です。また、協議がまとまらず家庭裁判所が代わりに判断する場合には、共同親権に関する第八百十九条第七項の規定も適用されることが明記されました。
未成年の子に対する親権を誰が持ち、どのような目的で行使すべきかを定めるルール
AI要約改正前は「子が父母の親権に服する」という子の立場からの表現でしたが、改正後は「親権は子の利益のために行使しなければならない」という、親権行使の目的・原則を明確にする表現に変わりました。また、父母が婚姻中は双方が親権者となることが明記され、養子の場合の親権者についても、養親(複数の縁組がある場合は最新の縁組による養親)と、その養親の配偶者である実親を親権者とする旨、より詳細に規定されるようになりました。
離婚や認知の際に、子どもの親権者を父・母のどちらか(または両方)に定める手続きについてのルール
AI要約改正前は離婚時に父母のどちらか一方だけを親権者に定める「単独親権」のみでしたが、改正後は父母の双方を親権者とする「共同親権」も選択できるようになりました。また、認知した子については原則母が親権者となり、父母の協議で父(または双方)を親権者にできるよう変更されました。さらに、DV等により共同親権が子の利益を害する場合は単独親権にすべきという判断基準や、子ども自身が親権者変更を家庭裁判所に請求できる権利が新設されました。
親権者である父または母自身がまだ未成年者である場合に、誰がその子(孫にあたる子)の親権を代わりに行使するかを定める規定
AI要約改正前は「親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う」という表現で、誰が誰に代わって親権を行使するのかが分かりにくい内容でした。改正後は、親権者となるべき父または母自身が未成年者であるときに限定し、その未成年の父母について親権を行使している者(通常はその父母の親権者、つまり子の祖父母など)が、代わりに孫にあたる子の親権を行使することを明確に規定しました。対象となる場面と、代わりに親権を行う者が誰であるかがはっきりする表現に改められています。
離婚後の子どもの養育費(監護費用)について、支払いを受ける側が他の債権者より優先して支払いを受けられる権利(先取特権)を定める条文
AI要約この条文は新しく追加されたものです。夫婦間の扶養義務、婚姻費用の分担、子の監護費用、親族間の扶養義務などに基づいて定期的に支払われるべきお金(定期金)のうち、子どもの養育に必要な標準的な費用にあたる部分については、支払いを受ける権利者が、債務者の他の借金の債権者よりも優先的に支払いを受けられるようになりました。これにより、養育費の支払いが滞った場合でも、子どもの生活費を確保しやすくなります。優先される金額は、扶養すべき子どもの数などに応じて法務省令で具体的に算定されます。
夫婦の間で結んだ契約を婚姻中はいつでも取り消せるとする「夫婦間契約取消権」に関するルール
AI要約改正前は第七百五十三条は既に廃止されていた欠番でしたが、第七百五十四条には『夫婦間で結んだ契約は、婚姻中であればいつでも一方から取り消せる(ただし第三者の権利は害さない)』という規定が残っていました。改正により、この第七百五十四条の規定も削除され、第七百五十三条・第七百五十四条ともに条文番号だけが残る「欠番」となりました。今後は夫婦間の契約であっても、婚姻中だからという理由だけで自由に取り消すことはできなくなります。
離婚後などに、祖父母やおじ・おばといった父母以外の親族が子と交流できるよう、家庭裁判所が定めることができるルール
AI要約新しく設けられた条文で、家庭裁判所は、離婚の話し合いがまとまらず裁判所が子の監護について決める場合に、子の利益のために特に必要と認めるときは、父母以外の親族(祖父母や兄弟姉妹など)と子どもとの交流の実施を定めることができるようになりました。この申立ては父母のほか、子の親族(直系尊属や兄弟姉妹以外の人は、過去にその子を実際に監護していた場合に限り、かつ他に適当な方法がない場合に限る)もできることになりました。これまで民法には父母以外の親族と子の面会交流を家庭裁判所が定める明文の規定がなかったため、この点を新設して明確化したものです。
離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合に、子を主に養育する親が他方の親に対して最低限度の養育費を請求できる権利を定める規定
AI要約これまで、離婚の際に養育費について話し合いがまとまらなかった場合、法律上当然に請求できる養育費の定めはありませんでした。この新設条文により、養育費の取り決めをせずに協議離婚した場合でも、子を主に育てる親は、法務省令で定める算定方法により計算された『最低限度の生活を維持するための標準的な費用』を、正式な取り決めがされるまでの間、相手方に毎月請求できるようになりました。ただし、相手方が経済的に支払い不能であることや、支払うと生活が著しく苦しくなることを証明した場合には、支払いを拒否したり、家庭裁判所が支払いの猶予や免除を命じたりすることも認められています。
父母が子どもを育て、扶養する際に守るべき基本的な心構えや責務を定める規定
AI要約新しく設けられた条文で、父母は子の心身の健全な発達のために子の人格を尊重し、年齢や発達段階に応じた養育をしなければならないこと、また自分と同程度の生活水準を子に保障する扶養義務を負うことが明記されました。さらに、父母が婚姻しているかどうかにかかわらず、子に関する権利行使や義務の履行にあたっては、互いに人格を尊重し協力し合わなければならないという協力義務も新たに定められました。これにより、離婚後も父母双方が子の利益のために協力する責任があることが法律上明確になりました。
離婚などで子どもと離れて暮らす父母以外の親族(祖父母など)と子どもとの面会交流について定めるルール
AI要約これまで法律には明文の規定がなかった、親以外の親族(祖父母や兄弟姉妹など)と子どもとの交流(面会など)について、新しく条文が設けられました。基本的には父母が話し合って決め、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所が決めますが、親以外の親族との交流は「子の利益のため特に必要がある」と認められる場合に限って認められます。また、一定の条件を満たす親族自身も家庭裁判所に交流を求める審判を申し立てられるようになりました。
父母が共同で親権者である場合に、親権をどのように行使するか(共同か単独か)を定めるルール
AI要約これまで明文の規定がなかった「共同親権」の行使方法について新しく条文が設けられました。原則として父母が共同で親権を行いますが、単独親権者しかいない場合や相手が親権を行えない場合、急を要する事情がある場合は一方だけで親権を行使できます。また、日常の育児・教育に関することは父母どちらか一方だけでも行うことができ、重要な事項について父母の意見が一致しない場合は、家庭裁判所が子の利益のために一方が単独で決められるよう定めることができるようになりました。
離婚等の際に定められた「子の監護をすべき者(監護者)」が、日常の子育てに関してどのような権限を持つかを定める規定
AI要約離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が導入されたことに伴い新設された条文です。父母の協議や家庭裁判所の審判で監護者(実際に子どもと一緒に暮らして育てる人)が決められた場合、その監護者は子どもの世話・教育、住む場所の決定、子どものアルバイトなどの許可について、親権者と同じ権利義務を持つと定めています。さらに、これらのことは監護者が単独で(もう一方の親の同意なしに)決めることができ、親権者であるもう一方の親はこれを妨げてはならないことも明記されました。