裁判手続・行政手続におけるデジタル利用への対応と損害賠償額算定方法の見直し
裁判手続や行政審判手続(特許審査など)において、著作物をオンラインで提出・送信できるよう著作権の制限規定が整備されました。また、行政機関が内部資料として著作物を利用する際にも、複製だけでなくメールなどでの送信が可能になりました。さらに、著作権侵害による損害賠償額の算定方法がより実態に即した形に見直されています。国立公文書館等における歴史公文書の保存・利用に関する規定は条文番号が整理されました。
主な変更点
新設された第41条の2により、裁判手続・行政審判手続(特許審査等)のために著作物を複製できるだけでなく、電磁的記録や映像・音声の送受信を伴う手続であれば公衆送信や公の伝達も可能になりました。従来は複製のみが認められていましたが、オンライン申請・提出に対応した規定に拡充されました。
第42条が改正され、立法・行政の内部資料として著作物を利用する場合、複製だけでなく、その内部資料を利用する者への公衆送信や受信装置での公の伝達も可能になりました。これにより、行政機関内でのデジタルでの資料共有がしやすくなります。
第42条の2が改正され、特許・意匠・商標等の行政審査手続について、電磁的記録や映像・音声の送受信を伴う場合には公衆送信や公の伝達が可能になりました。従来の複製に関する規定(旧42条の2)は情報公開関連として第42条の3に移動しました。
歴史公文書等の保存・利用に関する旧第42条の3の内容が、新設の第42条の4に移動しました。内容自体に変更はなく、条文番号の整理です。
第114条が改正され、著作権侵害による損害賠償の算定にあたり、権利者の販売能力を超える部分についてはライセンス料相当額を組み合わせて算定できるようになりました。また、権利行使の対価について合意していたと仮定した場合の対価も考慮できるようになり、より実態に即した損害賠償額の算定が可能になりました。
第47条の6、第47条の7、第48条、第49条、第86条、第102条など多数の条文で、新設・移動した条文(第41条の2、第42条の2、第42条の3、第42条の4)への引用が整理されました。
国民生活への影響
裁判所への電子提出や特許審査のオンライン手続など、デジタル化が進む行政・司法手続において、著作物(図面や文献等)をオンラインで送信・利用することが法的に明確に認められるようになります。行政機関同士でのデータ共有もしやすくなり、業務の効率化が期待されます。著作権侵害訴訟における損害賠償額の算定もより公正なものになります。
改正の背景
裁判手続や行政手続のデジタル化・オンライン化が進む中、従来の著作権制限規定は主に紙媒体での複製を前提としていたため、電子的な送信や伝達を明確にカバーする規定が必要とされました。また、損害賠償額の算定についても、権利者の実際の販売能力を超える侵害行為に対して適切な補償を可能にする必要があったと考えられます。
smart_toyこの概要はClaude AI(Anthropic社)により自動生成されています。 誤りや省略が含まれる可能性があります。正確な内容はe-Gov法令検索の原文をご確認ください。
本則の改正
13条法律の中身が変わった条文政治的な演説・陳述や裁判・行政審判での公開の発言を、著作権者の許可なく利用できる場合について定めた条文
AI要約従来は「裁判手続」の中に行政庁の審判手続を含める形で規定していましたが、改正後は「裁判手続」と「行政審判手続」を並列に表記し、「行政審判手続」の定義を新設された第四十一条の二に統一して置くように整理されました。対象となる範囲や利用できる内容自体に実質的な変更はなく、用語の定義箇所を整理した改正です。
国や自治体が仕事の資料として著作物を複製・利用できる場合を定めたルール
AI要約改正前は「裁判手続のため」と「立法・行政の内部資料のため」の両方について著作物のコピーを認めていましたが、改正後は「立法・行政の内部資料のため」のみを扱う条文に変更されました。裁判手続に関する部分は別の条文(第四十一条の二)に移されて統合されています。また、これまでは「複製(コピー)」しか認められていませんでしたが、改正後は内部資料を利用する人との間で「公衆送信」(データ送信)を行ったり、受信装置を使って「公に伝達」したりすることも新たに認められるようになりました。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は認められない点は変わりません。
特許・商標・種苗登録・薬事審査など、行政機関が行う専門的な審査・調査の手続に必要な範囲で、著作物を無断で複製(コピー)できることを定める規定
AI要約改正前は、情報公開法に基づいて行政機関が著作物を開示する際の利用ルールを定めていましたが、この内容は新設された第四十二条の三に移動しました。改正後の第四十二条の二は全く新しい内容となり、特許・意匠・商標の審査、実用新案の技術評価、国際出願の審査、種苗の品種登録審査、地理的表示(GI)の登録審査、薬事(医薬品・医療機器等)の審査といった行政庁や独立行政法人が行う専門的な審査手続のために、著作物を必要な範囲で複製できることが新たに定められました。また、これらの手続が電子データを使って行われる場合には、複製だけでなく著作物をインターネット送信したり、公の場で伝達したりすることも認められるようになりました。ただし、いずれの場合も著作権者の利益を不当に害する場合には認められません。
国や地方公共団体などが情報公開法・情報公開条例に基づいて著作物を開示する際に、著作権者の許諾なくその著作物を利用できるルール
AI要約改正前の第四十二条の三は、国立公文書館等が歴史公文書等を保存・利用するための著作物利用に関する規定でした。改正後は、この条文の内容が「行政機関の長・独立行政法人等・地方公共団体等が情報公開法や情報公開条例に基づいて著作物を開示するために必要な範囲で利用できる」という規定に置き換えられました。旧来の公文書館関連の内容は、条文番号が新設・整理された第四十二条の四に移動しています。つまり条文番号の役割分担が入れ替わり、情報公開法関連の規定が第四十二条の三、公文書管理法関連の規定が第四十二条の四として整理し直された形です。
他の条文で著作物を許可なく利用できる場合に、その利用に付随して『翻訳』や『翻案』などの形を変えた利用も認めるためのルール
AI要約第二号に列挙されていた著作物の利用を認める条文の一つ「第四十二条」が削除され、代わりに新設された第四十二条の二を含む「第四十一条から第四十二条の二まで」という表現に変更されました。これは、行政手続における公文書の審査等のために著作物を複製できる新しい規定(第四十二条の二)が追加されたことに伴い、その規定についても翻訳して利用できることを明確にするための整理です。実質的な利用範囲が広がるものではなく、条文の引用形式を整えた変更です。
著作権が制限されて複製が認められた著作物について、その複製物を公衆に譲渡(販売など)してもよい場合を定めた規定
AI要約条文の内容自体は変わっていませんが、参照している他の条文の番号が整理されたため、引用部分が書き換えられました。具体的には、旧条文で「第四十一条から第四十二条の二まで」「第四十二条の三第二項」とまとめて書かれていた部分が、新しい条番号に合わせて「第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項」と個別に列挙する形に変更されました。これは裁判手続や行政手続、公文書管理に関する権利制限規定が新設・再編されたことに伴う条番号のずれを反映したものです。
他人の著作物を許可なく利用できる場合に、誰の作品かという「出所」を示さなければならない義務について定めるルール
AI要約裁判手続や行政審判手続のために著作物を複製・公衆送信する場合(第四十一条の二)、および特許審査などの行政手続のために著作物を複製する場合(第四十二条の二)にも、出所を明示しなければならない対象として追加されました。また、第四十二条の規定(立法・行政の内部資料としての利用)について、複製以外の方法で利用する場合も出所明示の慣行があるときは明示が必要となる対象に追加されました。これにより、裁判・行政手続関連の著作物利用における出所表示の義務範囲が拡大しています。
著作権の制限規定(裁判手続や行政手続、公文書保存などのために許された複製)を、後から本来の目的以外の目的で使った場合に「新たに無断複製をしたもの」とみなすルールを定めた条文
AI要約裁判手続や行政審判手続のための複製(第四十一条の二)、行政審判手続のための複製(第四十二条の二)、情報公開のための利用(第四十二条の三)、公文書館での保存・提供のための利用(第四十二条の四)という、新たに設けられた著作権制限規定が対象に追加されました。これにより、これらの規定に基づいて作成された著作物のコピーを本来の目的外で配ったり公開したりした場合も、無断で複製したものとみなされ、著作権侵害として扱われるようになります。二次的著作物(翻訳・編曲などにより作られた著作物)についても同様に、第四十一条の二と第四十二条の二が新たに対象として追加されています。
本を出版する権利(出版権)を持つ人にも、著作権者と同じように「自由に複製してよい場合」のルールを当てはめるための条文
AI要約この条文自体の趣旨(出版権者にも著作権の制限規定を準用する)は変わっていません。変更点は、条文中で引用している他の条文の番号が整理されたことに伴う表記の修正です。具体的には、裁判手続・行政審判手続のための複製を定める規定が新たに「第四十一条の二」として独立したことなどにより、それ以降の「第四十二条」「第四十二条の二」「第四十二条の三」「第四十二条の四」の条文番号や項の指定がずれ、この条文内の引用箇所もそれに合わせて書き直されました。実質的な権利内容の変更ではなく、条文番号の整理に伴う技術的な修正です。
著作権者に認められている著作物利用の制限規定(私的利用や裁判・行政手続での利用など)を、実演・レコード・放送・有線放送といった著作隣接権にも同様に適用する(準用する)ためのルールを定めた条文
AI要約裁判手続や行政審判手続のための複製・公衆送信を認める規定(第41条の2)、行政手続のための複製を認める規定(第42条の2)、情報公開のための利用を認める規定(第42条の3)、公文書館での保存・利用を認める規定(第42条の4)が、著作隣接権(実演・レコード・放送・有線放送)にも適用されることが明確化されました。あわせて、これらの規定を目的外に利用した場合には著作隣接権侵害とみなされる旨や、複製時に出所を明示すべき対象にもこれらの規定が追加されました。実質的には、著作物についてすでに認められていた裁判手続や行政手続での利用の自由が、実演やレコードなどの著作隣接権についても同じように認められることになった、という整理上の改正です。
著作権・出版権・著作隣接権を侵害された権利者が、損害賠償を請求する際の損害額の算定方法(推定・みなし規定)を定めた条文
AI要約改正前は、侵害者が販売した物の数量に権利者の単位利益額を掛けて損害額とし、権利者の販売能力を超える分は控除するだけの仕組みでした。改正後は、権利者の販売能力の範囲内の数量分は従来通り単位利益額で計算する一方、その能力を超える数量や販売できなかった事情がある数量については、ライセンス料相当額(使用料相当額)を上乗せして請求できるようになりました。さらに、裁判所がこの使用料相当額を算定する際には、侵害があったことを前提に当事者間で対価について合意したとすれば得られたであろう金額を考慮できる旨の規定も新設され、より権利者に手厚い賠償額算定が可能になりました。
裁判手続や行政審判手続(特許庁の審判など)のために必要な範囲で、著作物を複製したり、オンライン審判のために送信・伝達したりできることを定める規定
AI要約これまで著作権法には存在しなかった新しい条文です。裁判や行政審判(特許の審判など)に必要な場合、著作権者の許可なく著作物をコピーできることが明文化されました。さらに、オンラインで行われる行政審判手続のために、著作物をインターネット送信したり画面に映して伝達したりすることも、著作権者の利益を不当に害しない範囲で認められるようになりました。
国立公文書館などが、歴史的な公文書に含まれる著作物を、保存や公開のために許可なくコピー・利用できるルール
AI要約新しく追加された条文です。国立公文書館や地方の公文書館が、歴史的価値のある公文書(歴史公文書等)を保存する目的であれば、その中に含まれる著作物(文章・写真・図表など)を著作権者の許可なくコピーできるようになりました。また、公文書管理法などのルールに基づいて、その公文書を一般の人に見せたり提供したりする場合にも、決められた方法であれば著作物を利用できるようになりました。これにより、公文書館が歴史的資料を適切に保存・公開する際に著作権が障害にならないようにしています。